由岐神社(ゆきじんじゃ)は鞍馬寺の九十九折れ参道の途中にあり、
鞍馬寺の鎮守社で、通称「靫明神(ゆきみょうじん)」と呼ばれています。
「靫明神」という社名は、天皇の病や国難時に神前に靫(ゆき)を献じて
平穏を祈ったことによります。
靫とは、「矢を入れて肩や腰に掛け、携帯する容器のこと」で、平安時代以後は
壺胡簶(つぼやなぐい)と呼ばれ、儀仗(ぎじよう)用となりました。
由岐神社脇に立つ鹿子木(かごのき)は、クスノキ科で樹皮の禿げたあとが
白く鹿の子模様になるのが特徴とされ、樹高が17mあり
京都市の天然記念物に指定されています。
由岐神社は、大己貴命(おほなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこのみこと)
を主祭神として「由岐大明神」と総称し、八所大明神を相殿に祀っています。
「由岐大明神」は、元は宮中に祀られていました。
天慶元年(938)に発生した大地震や、翌年の天慶の乱と世情不安が続いた
ことにより、当時の第61代・朱雀天皇の勅により、天慶3年(940)に北方鎮護のため
鞍馬の地に遷宮されました。
毎年10月22日に行われる例祭の鞍馬の火祭は、そのときに里人がかがり火を
持って神霊を迎えたことに由来しています。
八所大明神は、かって鞍馬山の山上に祀られていたのですが、
江戸時代の文化11年(1814)に焼失しました。
その後、再建されなかったため、由岐神社に合祀されました。
現在は、鞍馬寺の本殿金堂裏側にある鐘楼の脇に、
八所大明神を祀った小さな祠があります。
阿形
吽形
本殿脇に置かれている一対の狛犬は、それぞれ仔狛犬を胸に抱いた珍しいもので、
国の重要文化財に指定されています。
但し、現在安置されているのは原型を拡大したレプリカで、
本物は京都国立博物館に寄託されています。
子授けや安産、子孫繁栄にご利益があるとされています。
また、由岐神社が戌の日に腹帯を巻く習わしの起源になったとも云われています。
本殿の左側に三宝荒神社があります。
三宝荒神大神を祭神とし、不浄や災難を除去する神とされることから、
火の神、竈の神として、古くからこの地に祀られています。
本殿前の石段を下った途中に、御神木の大杉を祀る大杉社があります。
この御神木には、「一心に願えば願い事が叶う」と信仰されていて、
大杉の樹皮で造られたお守りが授与されています。
境内には三本の大杉が聳えていて、樹齢約800年、樹高は最長のものが約50m、
幹回り約6.5mあり、京都市の天然記念物に指定されています。
大杉社の向かい側には白長弁財天社があり、白長弁財天が祀られ、
商売繁盛や健康長寿に御利益があるとされています。
白長弁財天社から下った所に冠者社があり、
主祭神・大己貴命の父神である素戔嗚命(すさのおのみこと)が祀られています。
冠者社の向かいに岩上社があり、事代主命、大山祇命が祀られています。
かって、鞍馬山の「岩上の森」に祀られていました。
山岳登山の安全を信仰されています。
石段を下った所に拝殿があります。
拝殿の両側は舞台で、中央に通路がある割拝殿ですが、
その通路は石段になっています。
石段を下って振り返ってみると、斜面に懸造(がけづくり)で建てられ、
唐破風(からはふ)の屋根になっています。
拝殿は、慶長15年(1610)に豊臣秀頼により再建されたもので、
国の重要文化財に指定されています。
鞍馬山から下ってきたから逆になりましたが、本来はここから参拝するのが
順序だと思います。
九十九折れ参道へ戻ります。
続く
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