哲学の道
霊鑑寺から西へ、哲学の道まで進み、桜が満開の哲学の道を南へ進みます。
御旅所
霊鑑寺から5分程歩いた右側(西側)に大豊神社の御旅所があります。
一の鳥居
その先の四つ角を西へ進んだ所には大豊神社の一の鳥居が建っています。
参道
一の鳥居から東へ進み、先ほどの四つ角から、疎水に架かる橋を渡って更に東へ進むと
参道の両側に狛犬が神域を守護しています。
二の鳥居
参道の先に二の鳥居が建っています。
かって、この地には藤原淑子(ふじわら の しゅくし/よしこ:838~906)が
寛平元年(889)に創建した円成寺がありました。
淑子は天安2年(858)に藤原氏宗(ふじわら の うじむね:810~872)の後室と
なりましたが、貞観14年(872)に氏宗が薨去されたため、その菩提を弔うために
円成寺が創建されました。
大豊神社はその鎮守社として、背後の東山三十六峰・15番目の椿ヶ峰(標高132m)の
山中に鎮座していました。
宇多天皇碑
また、鳥居前に「宇多天皇御惱(のう=思いわずらう)平癒願所」の
碑が建っています。
第59代・宇多天皇(867~931)は、藤原淑子の猶子(ゆうし=養子)となり、
淑子の貢献もあって仁和3年(887)に即位しました。
社伝では、宇多天皇の健康祈願のために淑子が大豊神社を創建し、医薬の神である
少彦名命(すくなひこなのみこと)を祭神としたとされています。
手水舎
手水舎には「椿ヶ峰の御神水」と記されています。
拝殿
拝殿
社伝では、寛仁年間(1017~1021)に現在地に遷座したとされています。
応仁・文明の乱(1467~1477)で焼失し、その後、円成寺は廃寺となっていますので、
大豊神社のみが現在地で再興されたのかもしれません。
桜
本殿下は狛犬が守護しています。
枝垂桜は円山公園の三代目で、現在二代目の円山公園と同様に初代の桜から
種子を取り植栽されていたものと思われます。
本殿
本殿前は白と黒の狛巳が守護しています。
本殿-2
現在の祭神は少彦名命と、現在地に遷座されてから第15代・応神天皇と
菅原道真が合祀されています。
応神天皇は八幡神であり、勝運の神とされ、菅原道真は学問の神とされています。
良縁の石
本殿前には良縁・招福の石があります。
愛宕社と日吉社
本殿の左側には愛宕社日吉社があり、火防せの神の愛宕社には狛鳶(とび)、
方除・厄除の神である日吉社には、その神使いである狛猿が守護しています。
愛宕社
愛宕社の神使いは猪とされていますが、空を飛ぶ太郎坊天狗に因み、
鳶になったのかもしれません。
日吉社
日吉大社で何故猿が象徴されるようになったのかは不明ですが、
いつ頃か魔除けとされ「神猿(まさる)」と称されるようになりました。
稲荷社
本殿の左側には稲荷社があり、狛狐により守護されています。
稲荷神の使者となった狐には以下のような伝承が残されています。
「昔、船岡山の辺りに老いたキツネの夫婦がいた。
牡は銀の針を立てたような白毛で、尾は五鈷を巻きはさんだようであった。
牝は首は鹿で身体はキツネで、五匹の子狐をつれていた。
弘仁年中(810~824)、両狐が五匹の子狐をつれて稲荷山に参り、神前にぬかずいて、
我らは畜生の身だが、生まれたときから霊智を供え、
世を守り諸人を助けようとの願いをもっている。
しかし、狐である我らの身では、この願いを遂げるのは難しい。
願わくば、今日から当社の眷属となり、神威をかりてこの願いを遂げたい」と
申しでた。
これを聞いた稲荷神はよろこんで、「汝等の願いは殊勝である。
よって、今から長く当社に仕えるものとなり、参詣の人・信仰の輩を助けよ。
男狐は名を「小薄(コススキ)」と名乗って上之宮に仕えよ。
女狐は「阿古町(アコマチ)」と名乗って、下之宮に仕えよ」と告げられた。
大国社-1
右側の大国社は昭和44年(1969)に創建されました。
狛鼠が守護しています。
縁結びの神である大国主命は、素戔嗚命の娘・須勢理毘売命(すせりびめのみこと)と
出逢い、二人は恋に落ちました。
しかし、素戔嗚命は反対し、大国主命に難題を課します。
まず、毒蛇やムカデと蜂の洞窟で寝かせますが、須勢理毘売命がそれらを寄せ付けない
呪力のある布を大国主命渡していたので無事でした。
次に素戔嗚命は大国主命を野原に連れ出し、鏑矢(かぶらや)を射て、
それを取ってくるように命じました。
大国主命が野原に入ると火を放ち、焼き殺そうとしたのですが、
鼠が現れ洞窟へ案内しました。
洞窟で火が収まるのを待っていると、鼠が鏑矢を拾ってきて大国主命に渡しました。
素戔嗚命は仕方なく二人の結婚を許し、鼠は大国主命の神使いとなりました。
大国社-2
向かって右側、阿形の鼠は巻物を持ち、左側、
吽形の鼠は水瓶(水玉、酒器)を抱えています。
巻物は学問を、水瓶は子授けや安産が象徴されています。

熊野若王子神社へ向かいます。
続く
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