出雲路橋-1
下鴨神社の西口を出て、西へ進んだ所に出雲路橋があります。
鞍馬口通の賀茂川に架かり、かっては賀茂川の東岸は「蓼倉郷(たでくらごう)」、
西岸は「出雲郷」と称され、現在では東岸は左京区で、
橋を渡った西岸は北区となります。
出雲路橋の初見は承応3年(1654)で、鴨川に架かる11の橋の一つとして記されています。
現在の橋は昭和58年(1983)8月に架け替えられました。
鞍馬口の碑
橋の西詰に「出雲路 鞍馬口」の碑が建っています。
西詰は、「京の七口」の一つ鞍馬街道の起点で、「鞍馬口」、
「出雲路口」とも呼ばれていました。
志波む桜の碑
「志波む桜(師範桜)」の碑は明治38年(1905)に建てられました。
日露戦争の戦勝記念に京都府師範学校(現・京都教育大学)教職員、学生、
付属小学校の生徒により出町柳から上賀茂に至る賀茂川河畔に約3,000本の
ソメイヨシノとカエデの苗木を植樹し、この碑が建てられました。
山門
鞍馬口通を西へ進むと北側に上善寺があります。
山号を「千松山(せんしょうざん)」、院号を「遍照院」と号する浄土宗の寺院で、
京都六地蔵巡りの札所です。
京都六地蔵巡りは、毎年8月22日と23日に、京都の旧街道口に安置された
6躯の地蔵尊を巡拝するもので、800年余りの歴史があります。
保元年間(1156~1159)に都で疫病が発生したため、後白河上皇の勅命により
平清盛が西光法師に命じて京都の街道の入り口、六ヶ所に六角堂を建て一体づつ、
地蔵菩薩像を安置したのが始まりとされています。
門前には第一番六地蔵尊の碑が建っていますが、
大善寺に安置されている地蔵尊が根本像とされています。
山門は文化9年(1812)に建立された、国の登録有形文化財です。
長州人首塚碑
山門の左側に「贈 正四位 入江久一外七名首塚」の碑が建っています。
元治元年(1864)7月19日に起こった禁門の変で、鷹司邸附近で亡くなった長州藩士
入江九一・原道太・半田門吉・奈須俊平・田村育蔵・緒方弥左衛門・小橋友之輔と
無名の1人計8名が上善寺に葬られました。
墓地には「長州人首塚碑」が建っています。
天道大日如来
山門をくぐったす直ぐ右側に天道大日如来の石像が祀られています。
像高は1.6mで、鎌倉時代の中期以前の作とされています。
本堂
本堂は文化9年(1812)に建立された、国の登録有形文化財です。
寺伝では上善寺は、貞観5年(863)に慈覚大師円仁が天台密教の道場として、
千本今出川で創建されたと伝わります。
最盛期には13の塔頭を有していましたが、幾度かの火災により衰微しました。
文明年間(1469~1487)に春谷盛信(しゅんこく せいしん:生没年不詳)により
再興され、天台真盛宗となり、寺号が「上善寺」へ改められました。
第103代・後土御門天皇(在位:1464~1500)の勅願寺となり、
第104代・後柏原天皇(在位:1500~1526)が受戒したことにより
「千松山」の勅額を賜りました。
普段念仏道場の論旨も賜り、寺は栄えました。
文禄3年(1594)に豊臣秀吉による京都改造に伴い、
現在地へ移転となり、浄土宗へ改宗しました。
寛永11年(1634)に後水尾上皇の勅により嵯峨今林にあって廃寺となった
蓮華清浄寺から行基作と伝わる阿弥陀如来坐像が遷され、本尊としました。

後宇多上皇(1267~1324)は、徳治2年(1307)に崩御された
皇后・遊義門院(ゆうぎもんいん)の遺骸を嵯峨今林殿に移し火葬しました。
その翌日に落飾し、今林殿に遊義門院を弔うための法華堂を建立したのが
蓮華清浄寺の始まりとされています。
その後、大聖寺門跡が隠居所として第108代・後水尾天皇(在位:1611~1629)から
下賜されましたが、明治元年(1868)頃に廃寺となりました。
庫裡
本堂の右側(東側)に庫裏があります。
地蔵堂
その前方(南側)に平成28年(2016)に新築された地蔵堂があります。
檜造りの六角堂として再建されました。
地蔵堂-堂内
本尊の地蔵菩薩像は明治の神仏分離令による廃仏毀釈で、深泥池(みどろがいけ)の
畔にあった地蔵堂から遷されたもので、
「深泥池地蔵」とも「鞍馬口地蔵」とも呼ばれています。
往古、この地蔵菩薩が深泥池の水面に顕れたと伝わり、安永9年(1780)に刊行された
『都名所図会』に「六地蔵廻りの其一なり」と記されていました。
観音堂
南側に観音堂があります。
元は大正7年(1918)に建立された地蔵堂でしたが、地蔵堂が新地されたのに伴い、
南へ移築されて観音堂となりました。
観音堂-堂内
堂内
石仏群
観音堂の前方、境内の南側に多数の石仏が祀られていますが、詳細は不明です。
石仏群-十三仏
一つの石に十三仏が刻まれています。

少し西へ進み、その先の寺町通を南下して天寧寺と隣接する西園寺へ向かいます。
続く
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