石倉神社
円明教寺から山裾と言っても住宅街なので分かりずらいですが、
北西の方向に進んだ所に小倉神社があります。
神社前から北へ進み、「奥海印寺納所線」と呼ばれる
府道204号線の角に石倉神社があります。
石倉神社は、小倉神社の末社で、小倉神社にお参りする前に、
お祓いと禊を授ける社で、投石信仰がありました。
石倉神社の小さな社に、小石を投げてから小倉神社にお参りするという風習は
明治の中頃まで続いていました。

かって、石には神さまの他、人の魂もやどるとされていました。
石は“おはらい”と“みそぎ”を受ける“人の身がわり”だったのです。
また、石倉神社は、いつも寝ている寝坊な神様が祀られているそうで、社に石を投げて、
神様を起こさないと願い事が聞いてもらえないとの伝承もあります。
社号標
石倉神社から戻ると、小倉神社の石標が建っています。
一の鳥居
一の鳥居は江戸時代の元禄年間(1688~1703)に建立されました。
一の鳥居-扁額
神額「正一位小倉大明神」は、小野道風の筆と伝わります。
巨大な石
鳥居の手前には巨石が配されています。
神輿庫
参道を進んで右側を登って行くと小倉神社の第二駐車場があり、
その南側にコンクリート造りの神輿蔵があります。
江戸時代の作とされる神輿2基が納められています。
5月3日の春季例大祭で、神輿が巡幸されるそうです。
古墳
駐車場の西側は宅地が造成され、その奥に鳥居前古墳があるそうで、
かってこの地を支配した豪族が被葬者と推定されています。
小泉川流域を支配し、大きな力を持っていたと推測され、
その一族により小倉神社が創建されたと考えられています。
龍王神社-鳥居
神輿庫の南側に龍王神社が祀られています。
龍王神社
龍王神社は、かって、天王山の山頂近くにある竜神池の畔に祀られていたのですが、
江戸末期に現在地に遷座されました。
水利が悪く水に苦しんでいた円明寺村の民を助けるために龍神が池に舞い降り、
恵みの雨を降らせたと伝わり、村の守護神として信仰を集めていました。
稲荷神社-鳥居
稲荷神社
龍王神社の左側にある稲荷神社。
若宮神社-鳥居
若宮神社
稲荷神社の左側にある若宮神社。
天満宮-鳥居
若宮神社の左側にある天満宮。
天満宮
天満宮には天神の神使いである牛が祀られています。
二の鳥居
二の鳥居も元禄年間に建立されました。
手水者
鳥居をくぐった左側には手水舎があります。
熊野神社
手水舎の斜め奥には、境内に背を向けて熊野神社が祀られています。
噴水
境内の中央には噴水があります。
やちまた宮
噴水の南側には、方除交通安全の「やちまた宮」が祀られています。
割拝殿
やちまた宮の横、天王山への登山道を挟んで
斜めの石段を登った先に、割拝殿があります。
絵馬-神幸祭
割拝殿の中、右側に享保2年(1717)の「神幸祭板絵」が掛かっています。
絵馬-相撲
左側には文政10年(1827)正月の「奉納相撲板絵」が掲げられていますが、
現在は土俵も残されていません。
これらの絵馬には近年補彩が行われています。
滝不動
割拝殿の横に滝不動が祀られています。
御神木
割拝殿の左背後に立つ杉と樅の御神木は、樹齢500~600年と推定されています。
拝殿
割拝殿の先に拝殿があります。
安永9年(1780)に編纂された『都名所図会』には、境内に能舞台、楽屋が描かれ、
かっては祭礼時には「小倉能」と呼ばれた能が演じられていました。
三社宮
拝殿の先、右奥には三社宮があります。
右から八幡宮、天照皇大神宮、若宮社が祀られています。
亀の手水
本殿への石段脇には天王山、小倉山から湧き出している清水を手水としています。
亀の口から水が流れ出ていますが、奥の亀さんはお休みしています。
本殿-1
本殿
小倉神社は、乙訓地方(おとくにちほう)で最も古い神社の一つとされています。
奈良時代の養老2年(718)に創建され、
平安遷都の際は御所の鬼門除けとして祈願されました。
嘉祥3年(850)には、神階最高位である「正一位小倉大明神」と号しました。
山崎合戦の際は、秀吉が家臣を遣わし、戦勝を祈願しました。
江戸時代には、徳川幕府から寄進を受け、
禁門の変では幕府軍の戦勝祈願が行われました。
本殿-2
現在の本殿は江戸時代の文化8年(1811)に再建され、
明治30年(1897)、昭和10年(1935)に改修、修築が行われました。
平成29年(2017)に京都府暫定登録文化財に登録されています。

祭神は武甕槌神(たけみかづちのかみ)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、
斎主命(いわいぬしのみこと)、比売大神(ひめのおおかみ)で、
以上の四神は春日大社の祭神で「春日神」と呼ばれています。
斎主命は経津主神(ふつぬしのかみ)とも称され、
香取神宮の祭神であることから「香取神」、「香取大明神」とも呼ばれています。
磐座
本殿の裏に「小倉神社磬座(いわくら)、地磁波発生の処」と記された丸い石碑があります。
その横に建つ説明文で、地磁波は、
「地球の持っている磁気が特定の場所で強く認められ、機器測定によると
此の周辺の空間には磁力波が流れ出しています。」と記されています。

磬座は、「古来、自然崇拝の中心として、山を崇高な神の宿るところとの考えから、
御神体の中心とされた岩盤の多い場所」とされています。
現代人よりも、五感が敏感だったであろう古代人は、このような場所に霊感を
得て社寺を創建したと思われ、小倉神社も創建当初は春日神以外の
正体不明の小倉大明神が祀られていたと思われます。
天王山の登山口
久保川に架かる橋を渡ると天王山への登山道で、JR大山崎駅の方へ下ることもできます。
十二支
久保川沿いに下ると、十二支の像が祀られています。

観音寺(山崎聖天)へ向かいます。
続く

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